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勝手姉妹郷プロジェクト⑴
台湾 大渓工藝週「DAXI CRAFT WEEK」
への招聘・参加
2022/11

2022年11月2日から11月7日にかけて台湾桃園市大渓区で開催される「大渓工藝週:DAXI CRAFT WEEK」に、簑田理香(地域編集室簑田理香事務所/LLP風景社)と地域コミュニティ・ヒジノワが招待され、現地でのトークセッション・クラフトマーケット「工藝市場」などに参加することになりました。「工藝市場」(11/5,6)では、招待枠でヒジノワのブースを設けさせていただきます。
「大渓工藝週:DAXI CRAFT WEEK」は主催が桃園市立「大渓木藝生態博物館」。企画の中心を担うのが、昨年末より簑田とご縁ができた、桃園市で工芸による地域振興の拠点「C house」を運営する陳美霞(Mei Shia Chen)氏です。

この記事では、まず、
1:「大渓工藝週」の概要として、本企画の主催者作成の資料の抜粋を掲載し、
2:参加者の紹介
3:今回の招待に至る経緯説明を記載します。

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●桃園市の大渓区は、かつて富商の林家が地区を流れる大漢川を使って木材を運搬する事業を始めると米や塩の取引も盛んになり経済拠点で、日本統治時代の建物など歴史的建造物が建ち並ぶエリアもあるそうです。現在は、家具作りや木工が盛んで、工芸による地域振興が図られ、欧州のエコミュージアム構想に倣って、市立の大渓木藝生態博物館が2015年に設立され、地域の文化的活動や研究、学習、文化的活動、交流の拠点となっています。
 桃園市立大渓木藝生態博物館 https://wem.tycg.gov.tw/index.jsp大渓の様子がわかるウェブマガジン https://www.daxiway.com/blog

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1|「大渓工藝週」の概要〜主催者作成の資料より一部を紹介

2|益子・ヒジノワチームの参加内容について

⒈ トークセッション・交流会(11/4)


⑴トークセッション
冒頭に、簑田理香、鈴木稔、高田英明から 45分のスライドレクチャーを行い、その後、台湾チームと共に、意見交換を行います。レクチャーの内容は、簑田から(仕事や活動を通して地域づくりの事例紹介・益子町での状況・作り手と生活者をつなぐ地域コミュニティ・ヒジノワの活動について)、鈴木氏から陶芸の産地としての益子や自身の作陶の考え方について、高田氏から益子や近隣の材を用いた木造建築やリノベーションの事例紹介や、工芸作家とコラボする建築、家具や小物づくりの考え方などについて〜を予定。

意見交換のテーマが、先日、台湾チームから送られてきました。
ガチです!本質的です!
正直、このところ、この国に「蔓延するチャラさ」に辟易していたので、しっかり考え、ちゃんとした言葉で(通訳さんよろしくお願いします)語り合えそう方々との時間を楽しみにしています。そのテーマの一例を紹介します。
●どんな場所でも人がいる限り必ず衝突は起こります。なぜなら同じ考えの人などいないからです。人と人の葛藤、世代間の葛藤、地域と行政機関の葛藤、すぐに解決するのは難しい問題ですが、まず我々益子と大溪は、この葛藤にどのように向き合い、理解し、解決しようとしているのかを互いに共有したいと思います。
●地方自治体のシステムにおいては、なるべく多くの人間が関わることを期待されますが、益子と大溪は、このシステムをどのように運営していますか?地域活性化、地域振興、地方創生したと言いつつも、人口減少が止まらない、これは成功といえるのでしょうか。
●工芸において最も価値のあること は、ぬくもりを感じることが出来る職人技であり、またその職人の存在価値を伝えることも大切です。急速に変化する世界に直面して、時にはイノベーションを起こしながらこの価値をどのように維持していくか?国連の持続可能な開発目標(SDGS)の下、地方自治体は、雇用、市場、消費者、環境など、さまざまな課題に直面していますが、これらの目標に向かって益子と大渓はどのような取り組みをしていますか?
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交流会では、双方からの交換記念品の展示や、それぞれのお土産の試食タイムも予定されています。
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⑵ 工藝市場
ヒジノワでの個展開催やイベントでの出店、カフェでの出店経験がある方、18組にお声かけさせていただき、次の方々に「工藝市場」(11/5.6)に出品していただきます。 記事の最後に参加者リストを記します。

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3|これまでの経緯

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繋がりを作ってくれたのは、蔡 奕屏(ツァイ・イーピン)さんです。蔡さんは、台湾から千葉大学の大学院に留学し、地方創生とローカルデザインの状況などの研究の傍ら、日本から台湾へアートや工芸の情報を発信する記者として活動し、2021年1月には、日本での研究と取材をもとに、台湾向けの書籍『ローカルデザイン 地方設計』を出版、台湾で版を重ね、現在、続編も制作中です。
記事の一例: https://www.japan.travel/tw/tw/blog/sanma_06/

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1|土祭2015と『ミチカケ』
2020年秋に益子で開催された栃木県の関係人口づくりのイベント「はじまりのローカル コンパス」の担当だった町職員の深谷さんから「簑田さんに紹介したい人が参加しているから、イベント当日ヒジノワに来てください」と連絡があり、その人が蔡さんでした。私がプロジェクトマネージャーを務めていた土祭2015のことを台湾のウェブマガジンに記事を書いてくれていたそうで、ミチカケもファンだとのこと。そこから情報交換が始まりました。
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2|蔡さんの著書『ローカルデザイン/地方設計』に地域編集室簑田理香事務所が掲載。
2021年1月。日本の地方創生も研究テーマにしていた蔡さんは、日本各地に取材に出かけ、地域振興とデザインの関係性をいろんな事例をもとに台湾に紹介する本を書きました。
その中で1つの章として、土祭2015やミチカケ、ヒジノワ、ましこのうた、宇都宮大学での地方創生系授業のことなどを紹介してくれています。
このことについての過去記事は > こちら

3|蔡さんをトークゲストに

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2021年10月。風景社で企画したトークセッション「風景社セッション」第4回に、蔡さんをゲストに迎えて、台湾で進む地方創生について、工芸や農業を軸として地域づくりのお話などをしていただきました。その際に、蔡さんが進めるプロジェクト〜台湾の地方や人と、類似性がある日本の地方や人を繋ぎ交流を(姉妹都市のように)進めましょうという「勝手に姉妹郷」のプランを語っていただきました。

4|勝手に姉妹郷へ

2021年12月。蔡さんからこんなメッセージが届きました。

「「勝手に姉妹郷」の企画なんですが、色々考えていて、いまは台湾桃園の「C house」を簑田さんと繋いて行きたいと考えています〜!このC houseの代表の陳さんは工芸好きの方で、自分の家を工芸の学習場と予約制のレストランに変更して、いまは特に漆器などの工芸の伝承のことを力に入れています。陳さんと簑田さんの雰囲気がすごく近いこともあり、またお二人も工芸と地域づくりに関することを携わっていることもあり、ぜひ色々な経験をシェアできればと思います」
・・・・ここから、陳さん&C houseと、地域編集室簑田理香事務所&ヒジノワの交流がスタートしました。私からは、ヒジノワも交えた交流が良いのではないかと提案して、そしてすぐに蔡さんから企画書が送られてきました。
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●陳美霞氏とC.Houseについての記事:
C.Housseでのワークショップなどの様子
https://smiletaiwan.cw.com.tw/article/3638
陳さんの服飾プロダクトの1つ
https://www.daxiway.com/post/___茶衫

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5|勝手に姉妹郷オンライン交流会
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2022年1月11日。陳さんとC houseスタッフ、そしてヒジノワや関係者数名でのオンライン交流会を開催しました。蔡さんの企画で、事前にそれぞれゆかりの産品を送り合っていて、その説明やお茶の試飲や食べ物の試食や感想交換もオンライン上で行っています。その模様は、蔡さんによって、この企画のタイアップの雑誌『地味手帖』に10ページにわたり掲載されました。

地味手帖』(2022年2月発行)
出版:裏路文化有限公司 発行:遠足文化事業股份有限公司

巻頭ページの蔡さんによるイントロダクションの文章の和訳をいただいたので、次ページに掲載します。 『地味手帖』(2022年2月発行)より

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「陶磁器の産地である益子とは意外と縁が深く、よく数えたら7回以上訪れている。初めて訪れた時は知り合いが誰もいなかったのですが、回を重ねるごとに新しい友だちができ、益子との関係も深まっていきました。

益子の「ヒジノワ」を初めて訪れたのは、日本のコミュニティデザインを提唱している山崎亮さんの著書『コミュニティデザイン』がきっかけでした。 「土祭」のために生まれ変わったこの特別な空間に感動し、初めて益子を訪れたとき、ヒジノワを目当てにしました。

その後、ヒジノワの主要メンバーである編集者簑田さんにお会いしました。蓑田さんが土祭の主催中心メンバーであり、益子の伝説のフリーペーパー「ミチカケ」の編集長だったことを知り、簑田さんのおかげで、ヒジノワの生まれたストーリーを知ることができたのだと思いました。

一方、昨年、友人の紹介で、かつての木工のまち・大渓にある生活工芸拠点「C house」のオーナー、陳美霞さんを知りました。毎回陳さんと話すと、工芸に関する話が止まらなくなります。ヒジノワとC house、二つ工芸とゆかりがあるダイナミックな空間。そして、蓑田さんと陳さん、て気質の似た2人の地域プレイヤー。双方を紹介してお互いを知ることができれば、なんか面白い発展ができるではないかと思い、今回の勝手に姉妹郷に至りました。」(紹介終わり)

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6|台湾の「大渓工藝週」へ
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2022年3月に蔡さんから『地味手帖』が届き、そのお礼の連絡をしたところ「陳さんが秋に大渓で工芸のイベントを企画していて簑田さんや益子の仲間を招きたいので、予算確保に動いています」との第一報が。しかしコロナ禍でもあり、その後の連絡はなく・・・。
そして9月5日に「計画が具体化したのでオンラインミーティングしましょう」と連絡が。打合せを重ねる過程で台湾の入国規制も解除され、参加することになった次第です。
提示されたのは、簑田と他2名の3名を「大渓工藝週 DAXI CRAFT WEEK」に招待してくださるということと、滞在中に桃園市民の方向けに地域づくりや工芸の産地としての話、ものづくりの人の拠点としてのヒジノワの話などを講演してほしいということ、そして工藝市場の開催への参加です。
私から、共同代表の一人でもあり陶芸家の鈴木稔さん、そして、木の家づくりや古民家のリノベーションを手掛け、木材の有効活用もかねて家具や小物作りも行う星居社の高田英明さんに現地への参加をお願いしました。 
                  

7|この交流の趣旨と、これからの展望

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ここまで、経緯を詳しく書いたのは、蔡さんの「姉妹郷」の企画趣旨や、普段の活動から簑田が考えている「地域の風土と表現や生業の関係性を大切にしていくこと、丁寧に伝えていくこと」を、今回の、そして今後の交流の軸としてブレずに進めたいと考えているからです。

台湾に益子やヒジノワゆかりの作り手の作品/商品を紹介していくことは、単なる「商談」でも「台湾での益子産品の販売促進」でも「インバウンドの営業」でもなく、固有の歴史や特性を持った地域と地域、風土と風土の交歓、その土地に根ざした作り手と作り手の交流を進め、相互理解や海を超えた協力関係を築くことを目指したいと思います。
作り手の交流が生まれることは、地域の自然環境に育まれている作り手の感受性や、そこから生まれる表現や創意工夫の結晶としての作品を通して、より深く地域間の理解が深められることに繋がると考えています。本当の意味での、消費し尽くさない、消費しあうことで疲弊しない、健全な地域と人の暮らしを持続可能なものにしていくために、海を超えて、相互に学び合う、協力し合う。そのパートナーとして、今回の大渓区とのご縁を大切に育てていきたいと思います。


ご参加いただく、ヒジノワゆかりの作り手の皆さん

●記念品の交換
トークセッションの会場には、お互いの交換記念品の展示も行われます。益子チームからは、益子町観光商工課のご協力も含め、以下のものを贈呈します。

①鈴木稔(豆皿20枚)
②星居社(タモ材の額)
③廣瀬俊介(②に納めて、益子スケッチのポストカード10種)
④益子町観光商工課より 『ミチカケ』全10冊(簑田が企画・編集人を務めた)
⑤益子陶芸美術館・陶芸メッセより 展覧会図録4種
『藍より青く 栃木県文化功労者受章記念 日下田正展』(2021年)
『益子町名誉町民章受章記念 島岡達三展』(2013年)
『小森忍・河井寬次郎・濱田庄司 ―陶磁器研究とそれぞれの開花―』(2020年)
  『加守田章二 天極をさす』(2021年)
⑥わたね (倉本祐樹・芙美:ヒジノワにも出店経験が長い有機農家、市貝町在住)自然栽培・南部小麦の「わたねうどん」(乾麺)セット

●交流会での試食タイム:お土産として持参(④⑤⑥は、②③にのせて提供)
①赤羽まんぢう3種
②泉’s Barkely(加守田泉)全粒粉クラッカー(胡麻) 
③日々舎 ハードタイプのパン
④わたね(倉本祐樹・芙美)白皮砂糖南瓜のジャム 
⑤YURURi (須藤ゆう・柴美幸)とっておきのブルーベリージャム  ⑥YURURi (須藤ゆう・柴美幸)とっておきの柚子胡椒
⑦midnight breakfast(早瀬友貴)アメリカンクッキー

ヒジノワ出店の経験もある早瀬さんは台湾在住経験者でもあり、ヒジノワと
桃園市Chouseの交流〜オンラインミーティングから参画いただいています。


⒉ 工藝市場(11/5.6)

ヒジノワでの個展開催やイベントでの出店、カフェでの出店経験がある方、18組にお声かけさせていただき、次の方々に「工藝市場」(11/5.6)に出品していただきます。

陶芸
 1鈴木稔 SUZUKI MINORU  https://www.instagram.com/works_products/
 2船越弘 FUNAKOSHI HIROSHI
 3谷島潤 YAJIMA JUN https://twitter.com/over_grip
4松永玲美 REMI https://www.instagram.com/remi.matsunaga/

染織・服飾・小物
5 藍染 わらたに:藁谷誠   https://www.instagram.com/waratani_/
6 服飾  nociw :高田純子 https://www.instagram.com/nociw_seikyosha/7 服飾/染織 CASANE:石川恵子   https://www.instagram.com/_casane_/
8 服飾 yayami :柳真美子 https://www.instagram.com/yayami____mm/
9 服飾 kiito :上妻彩 https://www.instagram.com/kiitoclothes/
10  がまぐちバッグ AOTUKI:船越節子 

建築と木工(出品は木工小物)
11 カッティングボード等 星居社:高田英明 
https://www.instagram.com/seikyosha/https://seikyosha.net
絵画・メディア
 12 ポストカード(益子のスケッチ) 風土形成事務所:廣瀬俊介   https://shunsukehirose.blogspot.com/
 13 ポストカード・クリアファイル・トートバッグ 飯山太陽  https://www.instagram.com/taiyouiiyama/ 
14 DVD&PHOTOBOOK 映像写真集「ましこのうた」|ディレクター・簑田理香   http://editorialyabucozy.jp

食/加工品
15 柚子胡椒  YURURi:柴美幸/須藤ゆう
https://www.instagram.com/yu_ruri.2020/
16 白皮砂糖南瓜ジャム:わたね:倉本祐樹/芙美  
https://www.instagram.com/watane.shunsai/
17 全粒粉クラッカー等  泉’sBakerly:加守田泉 
https://www.instagram.com/izumi_bakery/
18 グリーンカレー(レトルト)ゾーファンチィ:鈴木史絵 
https://www.instagram.com/zuofang_chi/