宇都宮大学在職時代に制作したウェブサイトと報告書冊子について
2020年3月で任期を終え退職した国立大学法人宇都宮大学時代に制作したメディアを2つ記録しておきます。ウェブサイトと報告書冊子です。自治体や国公立大などでメディアをつくる際に(益子町役場時代もそうですが、つまり「公金」で行う事業は特に)、私の役割として認識していたのは、制作会社や代理店に数行の仕様書だけで丸投げせず、内部からしっかりとした「意思」をもって、事業の主体(住民や学生)に出来うる限り多くの福利をお返ししていく、そのための工夫と努力を惜しまない・・・ということです。最初に結論を書いてしまいましたが、以下、2つのメディアを少し解説いれて紹介しておきます。
私が所属していたのは、COC+推進室。COCとは、center of community:地(知)の拠点の略で、主幹の文部科学省によるよ、「平成27年度から、大学が地方公共団体や企業等と協働して、学生にとって魅力ある就職先の創出をするとともに、その地域が求める人材を養成するために必要な教育カリキュラムの改革を断行する大学の取組を支援することで、地方創生の中心となる「ひと」の地方への集積を目的として「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」を実施します」ということです。(この時点からツッコミたい気持ちは小さな胸にしまっておきます)
ウェブマガジン「18歳からのとちぎ仕事学」について
2016年から2020年に制作、現在も過去記事をアーカイブ化して大学のウェブサイト上で、閲覧可能となっています。デザインは、茨城県笠間市のTRUNKさん
https://cocplus.utsunomiya-u.ac.jp
企画趣旨
COC+事業の主体は在学生であり、在学生へどのように「地元:宇都宮大学生にとって学びの拠点がある栃木」を伝えていくか?という情報発信施策の中心に、スマホでも気軽に読めるウェブサイトを作成することとして、定期的な記事の更新をする「ウェブマガジン」と位置づけ、記事の作成に希望者の学生が参加する制作の仕組みづくりを行いました。 情報発信においては、「何を伝えるか」「どのような演出で:どのようなビジュアルで」伝えるかよりも、「どのような制作の仕組みを作るか」のほうに重きをおくべき場合もあります。一方的な情報伝達(垂直方向の)ではなく、受け手と一緒に(内発的に)情報を立ち上げていく仕組みづくりがうまくいけば、自ずと、情報は(水平方向に)シェアされていくと思います。
コンテンツ
イベントや授業などの告知てレポートを掲載する「お知らせ」以外での制作コンテンツは以下の3つ。
①「センパイに聞く!とちぎで仕事!」
学生とともに取材を行い学生が記事を執筆する、県内で働く本学卒業生のインタビュー記事
②「とちぎの働く現場訪問」
同様に学生が県内の企業や団体を取材して執筆する記事
③「教職員が綴る とちぎの話」
本学教職員が専門や趣味の領域から栃木について語るコラム。タイトルバナーは教育学部美術専攻の学生がイラストを制作。デザイン事務所からの依頼・ディレクションによって、その意図を組みながら掲載イラストを制作するという、貴重な体験となったように思います。
取材記事執筆の指導
◎2016年11月|インタビューについて、および記事作成についてのオリジナルレジュメとワークシートを作成して、記事制作参加を希望する学生向けのワークショップを開催。取材にあたっては、毎回、個別に「取材前の情報収集〜質問事項の準備〜インタビュー〜原稿作成」という流れで指導・助言を行っています。
草稿の添削指導は、こんな感じで非常に細かくみていきます。
最低は3往復くらいのやりとりで仕上げます。「ここをこう修正してください」ではなく、「このままだと、何故わかりにくいか?」「どういう方針で修正すればいいか?」などを投げかけながら「自分で考える」「自分で気づく」回路づくりを行いました。
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COC+事業:最終報告書の制作
「とちぎ仕事学を通して考える
これからの時代の地域づくりと私の生き方」
長いタイトルではありますが、5年間の事業の最終報告冊子の企画・制作を担当しました。国公立の大学や自治体が作成する報告書は、今まで見てきた限りでは、概ね、事業を進める過程で、会議やリリース用に、あるいは報告用に作成されていたレジュメやパワーポイントの「寄せ集め」となっているものが多いです。しかし、予算がとられていて、せっかく作るのであれば、関係者や地域住民に広く還元できる(役に立つ)ものにしたい!ものですよね。
というわけで、企画・編集・執筆(全体の7割)した冊子は、こちらで全ページをPDF公開しています。
デザイン|TRUNKさん時代にウェブマガジンをご担当だった小池隆夫さん(DIVE)
https://cocplus.utsunomiya-u.ac.jp/information/information/coc-32.html
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巻頭特集の「シンポジウム 対話と思考の場04」のアーカイブ記事だけでも、ぜひ!
講演録1|西村佳哲氏「自分が生きる社会を自分たちでつくる」
講演録2|廣瀬俊介氏「地域の文理融合研究について—福島県早戸地区での取り組みを事例に」
講演録3|山口覚氏「変わってゆく価値観の先に—地域を豊かにする評価・指標の探求」
第2部|卒業生も交えての意見交換の記録
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コロナ禍の渦中に、これからの地域経営を、そして、「生き方」と「地域づくり」をどう重ねていくか、その手がかりが得られる内容だったと、あらためて思い返しています。
追記|個人的には、西村佳哲さんから「報告書が届きました」と、いただいたメールで、この編集に対して「お見事!」と評価いただいたことで、苦労が報われた思いでした。