ローカルに拠点を持ちたい!という都市部の方を、地域コミュニティ・ヒジノワで2日間のプログラムを組み、お迎えしました。「都市部に住みながら、ローカルにもうひとつの拠点を作ろう!」というコンセプトで、栃木へ新しい人の流れを作る取り組みが、昨年から県の事業(主催・栃木県、事務局・NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク)として進められています。今年は、益子をフィールドに!という依頼が来まして、地域編集室が窓口になり、地域コミュニティ・ヒジノワでお受けしました。
10月22日23日の週末に第1回のツアーを実施し、2回目を11月19日20日に予定しています。今回の記事では、10月ツアーの報告と、この機会に、私も2009年の立ち上げから参加している、ヒジノワについて。
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そもそも、ローカルって、なに?
例えば、私も2回ほど書かせていただいたマガジンハウスの「ローカル・地域」をテーマにしたWebマガジン『コロカル』。不定期に書かせていただいている良品計画の「ローカルニッポン」。地方と都市をつなぐ・つたえる『ココロココ』。「つなぐ、つくる、つたえる」コミュニティデザインやまちづくりのウェブマガジン『マチノコト』・・・などなど、「ローカル」の動きを取り上げるウェブマガジンは年々増え、紙媒体も含めて「ローカルメディア」という一大勢力ジャンルが出来上がっています。行政においても「ローカル」が、地方創生・地域活性の掛け声に良くも悪くも煽られている状況は…続いています。
そもそも「ローカル」って何? なぜカタカナ語を使うのか? 地域と地方の使い分けは、どうなんでしょうか? いや、そもそも、どうして「ローカル」が頑張らないといけないのか? なぜ、地域が振興しないといけないのか? どうして都会の人と「ローカル」成分をわかちあわないといけないのか? なぜこんなに今の時代、「ローカル」が求められるのか? いや、求められてる気がするだけなのか?どーもすみません、理屈っぽくて。「そもそも」に立ち返りつつ(答えはでなくても)、その「へりくつ命題」を噛み締めながら「具体的な企画」や「センス」と呼ばれるものに変換していくのが、地域編集室のモットーの1つです。
まるで本論のような前置きが長くなってしまいましたが、そのような「そもそも」を噛み締めながら、お受けしたこのプロジェクト。ヒジノワの仲間たちと企画し準備し、この週末に、都内や埼玉から6名の(2名が仕事の都合でお休み)方々をお迎えしました。今回の2日間のツアーは、11月のツアーに続きます。プログラム内容は、ヒジノワメンバーの生業や暮しを知り体験してもらうことを軸に、主催者サイドから希望があった「土祭」「ミチカケ」の要素を加えて組み立てています。その内容をご紹介します。
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10/22(土)
・ヒジノワご案内。「ぬのといと」展へ
・ミチカケ5号『益子とともに暮らす家』登場のキッチン・スロープさんで昼食。オリエンテーションや自己紹介
・おとなの社会科見学(ヒジノワメンバーの仕事場訪問|彫刻家・古川潤さん、服飾家・
komichiさん、日々舎・池田絵美さん、大工・星居社株式会社・高田英明さん、陶芸家・鈴木稔さん)
・土祭会場見学(綱神社〜浄土庭園跡と宇都宮家の墓)
・夕食交流会(ヒジノワでメンバーがつくる手料理で交流。「ヒジノワ」についてのスライドトーク)
10/23(日)
・土祭風景遠足@コンパス版(七井地区の小宅古墳群〜亀の井、西明寺地区のコウホネ田んぼ。環境デザイナー・土祭風土形成ディレクター廣瀬さんと七井地区の大岡忠男さんのガイド)
・おとなの社会科見学(有機農家・山崎喜生さんと里芋収穫体験)
・畑の広場で昼食会(多彩な有機野菜や平飼いで健康的な鶏肉や卵の料理、薪のカマドで炊いたサツマイモごはんなど)と、山﨑光男さんを招いての「地方の農家としてのお考えや体験談など」のお話を聞く。
・土祭会場見学(土舞台、ヒジノワのように土祭がきっかけで空き家活用によって生まれた店舗pejite)
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この続き、11月のプログラムは
11/19(土)
・おとなの職場体験(10月の訪問したヒジノワメンバーの仕事先へ、それぞれ分かれて益子での生業と暮らしを体験してもらいます)
・ミチカケ連載「益子とともに暮らす家」に登場したお宅での3時のお茶交流会
・10月11月の益子での体験をもとに記事をつくる「ミチカケ新聞制作ワークショプ」(ミチカケのアートディレクターTRUNK笹目亮太郎さんとみのだと一緒に)
・益子の地域おこし協力隊員を迎えてのヒジノワ夕食交流会
11/20(日)
・ミチカケ新聞をヒジノワスペースへ展示設営(27日まで展示予定)
・コンパス&ヒジノワ共催トークセッション(協力ミチカケ編集部)
「ミチカケの行間を伝える マシコボーダーレス〜地域に根ざした暮らしの作り方とは?」
スピーカー|高山英樹(木工家具作家 ミチカケ7号特集「マシコボーダーレス」登場)石川若彦(陶芸家 ミチカケ7号「石川家の食卓」登場)矢津田義則(陶芸家、ミチカケ「益子とともに暮らす家」執筆者)司会 多田君枝(住空間の総合誌『コンフォルト』編集長)
*このトークセッションは、一般参加の申し込みも受け付けます。追ってイベントページを立ち上げますので、少しお待ちを。
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ざざっと紹介するとこのような内容です。この内容には、私やヒジノワの仲間たちからの「ローカル?」への答えがあります。都会で暮らしながら地方にも関わりたいと希望をもつ方たちに、何を提供することができるのか? 土地と人と、土地と人の暮しの「繋がり(目には見えないものだけど)」を体感しながら、人の暮しの「軸」を感じて、
現実の言葉をしっかりと受け取る。そのきっかけをつくることしか私たちにはできません。でも、それは大切なことで、ある意味、いまの世の中の危うさへの大切な「カウンター」にもなるはずです。なんとなく「伝えている気になる」ようなカタカナ言葉が溢れたネット世界や、「ナチュラル感」溢れる雑誌のビジュアルが謳う「丁寧な暮らし」に惑わされないように。ギョーカイにふわふわと踊らされないように。地域地域で、土地と人がもう一度しっかりと健康的な関係を繋ぎ直し、人の暮らしの「軸」をつくっていくこと。
そう考えながら私はいつも「ローカル」や「地域振興」という言葉を使っています。企画書の行間のそんな気持ちや受け入れ側の暮らしぶりは、参加者のみなさんの目には、どう映ったのか…日曜日のお昼、イノシシ対策や遺伝子組み替えの農作物と「日々の暮らし」を話してくださった有機農家のお父さん・山崎光男さんと、まっすぐに顔を上げて聞いている参加者。それぞれの表情や視線の交換からは、なにかこう小さな芽だとしても確かに「伝わっている」という空気を感じていました。この続きはまた、11月の交流が終わってから。
最後のおまけ。
ヒジノワのことをスライドを用いてお話しました。
これまでにトークに呼ばれて使用したものをコンパス版に改編したもの。おまけに貼っておきますね。本来、話を組み合わせて使うものなのですが、なんとなく「ヒジノワって何?」も見えてくるかな。