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アートの力、ひとの力、
つながりの力。
南相馬市「おれたちの伝承館」訪問

一般庶民が「分断」されるように常に仕向けられている世の中ならば、私の歩みも、私が出会う、ひととして尊敬すべき人たちとのつながりも、「連続性」をしなやかに保ちつつ、前に前に進もうと、改めて思う。

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8月31日。産経新聞を名誉毀損で訴えた裁判の東京高裁・控訴審で1審に続き勝訴(①)した石嶺香織さん(沖縄宮古島市・染織作家)を、その後、休養を兼ねて益子へお迎えし、友人達と、小さな唄の夕べを持ちました。
9月2日。益子から私の真っ赤なポシェのつもりのポロで、一緒に福島へ。高速で2時間半。目的地は南相馬市小高地区に7月に開館した「3.11&福島原発事故伝承アートミュージアム おれたちの伝承館」(②)。
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おれ達の伝承館、通称、おれ伝は、石嶺さんがつながる画家の山内若菜さん(③)の作品が(天井に!)設置され(写真)、福島から京都に原発避難され朗読家として「ほんじもよぉ語り」(④)を続けている井上みわこさんも立ち上げから関わられている。そして、私も、2017年か18年ごろに、おれ伝の発起人?隊長の写真家・中筋純さん(⑤)の写真展「流転 チェルノブイリと福島」を拝見して以来、S N Sで情報を追わせていただき、開館したら必ず訪れようと思っていた私設美術館。「おれ」は、当地で老若男女問わずに使う一人称とのこと。
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石嶺さんの裁判も応援してくださっている作家の渡辺一枝さん(⑥)と、一枝さんのご友人/同志の今野寿美雄さん(子ども脱被ばく裁判・原告代表⑦)もご一緒してくださることになり、現地の双葉屋旅館さんで待ち合わせして、伝承館へ。中筋さんも在廊(というか、さまざまな作業や対応をしながら)されており、なんとも濃くて良き時間に。(皆様、ありがとうございました)
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作家が宿泊する一軒家のレジデンス、そして、倉庫を自分たちで改修した美術館。どちらも防護服を着ての除染作業から始まった取組みとのこと。圧倒的な「場」の空気と、1つ1つの作品の存在感。訪問して数日、まだまだ咀嚼できません。まずは、写真で報告にかえます。

和紙を用いた造形作家、小林桐美さんの作品(下2枚も)。原発事故後、取り残された牛達は餓死に直面しながら、牛舎の柱をかじっていた。
のぐちくみこさんの作品。貝殻に、いろんな人の呟きが託されている。
加茂昂さん。人の排泄物から堆肥化したものを用いて描いた、除染された水田。白い十字に見えるマークは除染済みの印。
天井画は山内若菜さん。手前の木彫は安藤榮作さん。これはぜひ伝承館で見ていただきたい。
Mariko Gelmanさんのインスタレーション作品
花は咲く、とか、負けないで、とか、絆とか。安っぽい言葉を垂れ流して、大切なところをうやむやにしてきた私たちの責任。
坂内直美さんの作品「朝焼け」(奥)。手前、砂で描かれた矢印は、フクイチの所在地を指す。

以上の写真は、館内展示の、ほんの、ほんの、一部で、一断面です。
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出展作家の皆さん(敬称略:クラファンページより転載)
青田惠子(布絵)・阿部尊美(写真・映像・インスタレーション)・安藤榮作(木彫)・大塚久(漫画)・片平仁(CG)・金原寿浩(絵画)・加茂昂(絵画)・小林桐美(版画・和紙造形)・坂内直美(絵画)・田野勝晴(インスタレーション)・豊田直巳(写真)・中筋純(写真・映像)・野口和洋(木口木版)・のぐちくみこ(イラストレーション)・前川加奈(絵画)・Mariko Gelman(インスタレーション)・山内若菜(絵画)・すぎた和人(絵画)・小原風子(絵画)・香本博(絵画)他

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また、この素晴らしい私設美術館の維持のためのクラウドファンディングもスタートしています。私も本日、参加させていただきました。この投稿やブログを見て、いつか行こう!と思っていただいたあなた、クラファンのページへもどうぞ!
https://congrant.com/project/moyai/6407/form/step2

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関連リンク
①控訴審については、支援の会代表&フリーランス記者として、司法記者クラブでの記者会見に参加させていただき、動画をアップしています。判決内容やこの裁判の意味など、こちらへ。 https://www.youtube.com/watch?v=6LEae37JmwQ
②おれたちの伝承館
●関西テレビが「newsランナー」として制作した2023年8月29日放送の番組がYouTubeで見ることができます。番組紹介キャッチ「“未来”に進む前に、向きあうべき”過去”がある 原発事故と福島を伝える「おれたちの伝承館」 福島から避難した17歳高校生 『原発事故のことを隠さず潔くありたい』」。ぜひ!!
https://www.youtube.com/watch?v=3i9QjWTp0ec
●おれたちの伝承館もやい展FBページ
https://www.facebook.com/moyaiten
③山内若菜さんウェブサイト
https://wakanayamauchi.com/profile
2016年原爆の図丸木美術館に作品が展示された時のメッセージ。
https://marukigallery.jp/1728/
④井上美和子さんの「ほんじもよぉ語り」ウェブサイト
https://honjimoyoogatari.jimdosite.com/?
⑤中筋写真事務所
https://suzyj1966.wixsite.com/suzy-jphotographs
中筋さんの著作の1つ『コンセントの向こう側』
我が家の本棚にもあります。
小学館サイト https://www.shogakukan.co.jp/books/09682355
⑥渡辺一枝さんの連載:マガジン9
https://maga9.jp/author/ichie/
⑦今野寿美雄さんが代表を務める子ども脱被ばく裁判のホームページ
https://kodomodatsuhibaku.blogspot.com/2021/10/blog-post_7.htm
l国際環境NGO FoE Japanが制作公開している今野さんのインタビュー動画(2020年)。
https://www.foejapan.org/energy/fukushima/201011.html

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さて、翌朝、帰りの道中、オープン前の道の駅なみえにトイレ休憩で立ち寄ると、こんな広告をまとったバスに遭遇しました。

福島イノベーションコースト構想推進機構による「東日本大震災・原子力災害伝承館」。
https://www.fipo.or.jp/lore/ 巨額の予算が動いたんだろうな〜。「コンセントのこちら側の人間」として、伝えていきたいのは、どういうことなのか。しっかり咀嚼して言語化していくためにも、次の訪問では、こちらも見てやるとするか!