宇都宮大学時代に立ち上げた科目「地域編集論-地域振興と情報発信」について
地域編集論-地域振興と情報発信とは、
簑田が2017年に立ち上げて3年目を迎えた、宇都宮大学の基盤教育(1年2年で受講する基礎科目)選択科目です。2016年4月から宇都宮大学で文科省版地方創生の事業「地(知)の拠点整備事業COC+」とやらのチームメンバーとして働いています。上から目線の役所言葉で言いますと「東京一極集中&地方の衰退&少子高齢化が進む時代で、地域課題解決に資する人材を育成し、地方に(就職させて)定着させる」取り組みです。しかし、事業の主体はあくまでも学生ですから。これまでの大人たちの無策と無能の結果を大人の都合のいいように若者にツケを払わせるような流れにのっかっても・・(以下自粛)。
ここでは、その科目の概要を記しておきます。
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地域編集論とは
編集的思考をもとに、「適切で健全な地域振興/地域づくり」や 地域での「内発的情報発信」のあり方を探求していくための「私論」であり「試論」です。2016年10月から、宇都宮大学での業務の中で、この言葉を考え使っています。
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編集的思考とは
こちらも簑田が、2016年10月から自分の思考のスタイルを整理しながら独自に使い始めた言葉です。編集者としての仕事の蓄積と、落ちこぼれではありますはが、社会学を地域を対象に学んだ者としての視点を掛け合わせています。2009年から地域づくりの現場や地域振興の仕事に多く接して、あるいは自ら取り組んできた多くの「個別の事例」を、地域社会学的なアプローチで構造を読み解き、いくつかの法則性を見出し整理している思考の道筋です。
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初回講義のガイダンスレジュメより
この科目は、「編集的思考」にもとに、「適切で健全な地域振興/地域づくり」や 地域での「内発的情報発信」のあり方を受講生の皆さんと一緒に探求してゆく授業です。
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情報を集めて編む「編集」という活動は、紙媒体やネットなどのメディア制作のみならず、その考え方と技術が、さまざまな社会活動の中で有用なものとして理解され、思考法の1つとしても活用されています。さまざまな情報が溢れる現代社会においては、情報の編集を適切に行うことが重要であり、地域社会の運営においても適切な「編集活動」が果たす役割は重要度を増しています。
また、私たちが生きている「地域社会」は、少子高齢化や東京一極集中が進む状況下でさまざまな課題を抱えています。同時に「その地域ならでは」の資源や可能性も多く有しています。県内地域および日本各地で、さまざまな形で行われている地域振興の施策(行政主導・民間主導・官民協働)について、「現状認識:地域理解〜企画立案〜実施・運営〜総括」というプロセスと、それに沿う「編集と情報の共有・発信」の事例研究を行いながら、地域にとってより良い「地域振興/地域づくり」と「情報発信」の考え方と手法を探ります。
第1部では、地域振興のためのさまざまな施策やプロジェクトの構想・企画・運営において有効に活用されるべき「編集的思考」(編集という技術の知恵と手法)を、ワークや事例研究を通して、皆さんと一緒に探求してゆきます。第2部では、1部で共有した「編集的思考」に基づく地域振興のあり方や、適切な企画立案の考え方、情報の共有や発信のあり方を、ゲスト講師の講義や事例研究とディスカッションなどを通して探ってゆきます。
各回のテーマに合わせて、以下の6つを織り交ぜて全15回の授業を構成します。①レジュメを用いた講義
②講師の取材に基づくスライドによる事例紹介
③地域発信ムービーや冊子の読み解き・検証
④個人ワークとグループワーク
⑤グループディスカッションと発表
⑥ゲスト講師の講義(2回を予定)
———-以上、ガイダンスレジュメより転載終わり
写真は、毎回の授業スライドの扉。各回で取り上げる事例の写真だったり、その回のポイントの伏線だったり後半のゲスト講師の予告だったり、取材に出向いた地方での写真だったり。毎回冒頭に、地域づくりについての小話を一枚の写真から伝えて授業を始めていました。(つづく)
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