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あゆみ07|再び大渓へ。視察・交流・会議の旅|2023年12月|

2023/12017-21
昨年11月の「大渓工藝週」への招待・参加に続き、2回目の桃園市大渓区への訪問です。今年も11月には、大渓工藝週第2回が開催されていたのですが、秋の陶器市・ヒジノワマーケットと重なっている日程で、2年連続では難しいねと訪台を見送り、しかし、「大渓で学びたい・リアル対面で打ち合わせしたい」ということで、Chouseの皆さんも大イベントを終えて落ち着かれた頃ということで、12月の訪問となりました。今回の参加は、鈴木稔さん・廣瀬俊介さん(夫)と私の3名。

C houseで開いてくれたウェルカムパーティ。Chouseの皆さん&市立木藝生態博物館の館長、学芸員のセンさん、まちづくりの仲間と美霞さんたちが呼ぶ、香子さん(通訳やガイドでお世話になってます!)はじめ、陶芸、木藝彫刻、鍛冶、漁師、貿易などなどに携わる皆さん。二度目の方も始めましての方も。今回もまた(予想以上に)学びばかりの滞在となりました!

地域編集室簑田理香事務所にしてもL L P風景社にしても「土地の歴史、土地の風土」「地域の(中央に対しての)尊厳」あたりのことを当然のこととして重要視し、そのための努力と思考を止めていない(つもり)ではありますが、台湾との交流では、その原点を学び直せる、本質的なところで話がとても通じる、こちらの姿勢もまたピシッと矯正されるような機会。
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そして、任意の有志の集まりとして15年続けてきている「ヒジノワ」のあり方も、私たち手弁当の運営メンバーは常に試行錯誤、悩みの連続ですが、ああ!ここに先輩であり仲間がいた!と感じさせてくれるのが、大渓の仲間たち!最崇高的敬意和感謝♡


移動日も入れて5日間の滞在で、快晴ははじめの2日だけ。3日目からは寒波襲来。

1|今回の学び

今回、Chouse代表の陳美霞さんや桃園市立大渓木藝生態博物館学芸員のセンさんがコーディネートしてくださった視察先と、学びのテーマは、以下に書き出したようなものだったと、私は理解しています。具体については「理念や方向性を同じくするお仲間の方々」に、それぞれの機会で共有させていただきますね。
●まちづくりや文化事業での行政と民間の連携、市立エコミュージアムが果たしてきた(いる)役割 
●古建築の修復・リノベーションの「指針」と活用。民間への浸透
●古建築やその土地や先人たちの「歴史への敬意」と、来訪者に伝え学べる工夫(必ずパネル展示がある)
●マルチなアーティスト。生活を創造的に楽しむ姿勢。相互のつながりと展示やスタジオの空間設計の圧倒的なクォリティ
●大学教育の手厚さ、根本的な日本との違い
●農と食:若手世代が事業を創業する起点での切実&適切な課題設定、次の世代へ伝え残していくべきことを念頭に。ソーシャルグッドやSDGsの看板は後からついてくる
●現状認識課題設定解決のための起業そこに体験観光をプラス、という「軸」が通った着地型観光の組み立て

伝統的な家屋様式「三合院」。朽ち果てそうだった建物の半分を借りて、元バックパッカーのご夫婦(中央の前後)が、奥様のおばあちゃんのレシピで創業した伝統的餅米菓子の体験教室「Siang kháu Lū」にて。
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2024年からは相互の交流を地域に開きながら、具体的な動きをスタートさせます。そのための会議も、香子さんの的確な通訳のお陰で、日本語・英語・台湾華語ミックスでもしっかり深まり・・・ありがたや。主な訪問先について、以下に簡単ではありますが、写真メインで記録を。

2|宿:新南12文創実験商行。

老街の古建築をご夫婦(夫さんは修復士)で築100年超の古民家をリノベ。壁面には歴史がわかるパネル。アーツ&クラフトの展示や販売、書店スペース・カフェスペースも併設。ヒジノワ同様、地域の方にもいろんな活用スペースとして提供されているとのこと!超快適。1階のショップとキッチンスペースの壁面には、修復の過程の写真と地域を含めたオープンまでの歴史が。奥の書店スペースの壁面には、この建物の前のオーナーであったお医者さん家族の写真も飾ってある。

3|餅米を用いた伝統料理体験Siang kháu Lū

伝統的建築様式「三合院」をリノベしたスタジオで伝統的餅米料理を学ぶことができる。元バックパッカーのご夫婦が起業。海外からの旅行者も予約して、バスなどを乗り継ぎ、ここを訪れているそう。スタジオの名前が漢字変換できないので、とても素敵なウェブサイトもぜひご確認ください>https://siangkhaulu.com/

 

4|有機農場 香草野園 Vanilla ueno park

地元にUターンした兄弟が地域の水源を守るために有機農法で新規就農。生態系に配慮した循環型の仕組みを構築し、収穫体験と簡単な料理のW Sも 。宿、三合院のスタジオ、そして、ここでも、地域のことや農法のことなどを伝えるパネルがしっかりと作られて展示されている。

5|私立の総合大学・中原大学 景観建築学科訪問

建築とランドスケープの先生お二人と日本から入学して学んでいる4年生レンさんアオイさんにレクチャーを受けつつ、構内と隣接する迷宮のような古建築群の(学生や卒業生たちの)リノベ例と、雨水の集め方や樹木の保全に考慮した広場をご案内いただく。建築の教育、ランドスケープの教育、先生方のお考えとその実践に門外漢の私も深く感じ入る 。
レンさんアオイさんに、就活のことを尋ねてみた。台湾の大学では卒論や修論が終わってから、その成果をポートフォリオとして、就活を行うという。「そうでないと、大学で何を学んできたかを話せないですよね」・・正論です。3年くらいで(まだ専門の、学びもないうちから)就活を「しなければいけない」日本の大学生たち、本当に気の毒であり、日本の企業経済優先に作られた仕組みの毒と闇は・・(以下自粛)

5|夥房

陶、鉄、華、書、食などのアーティストたちが共同運営するギャラリーのようなサロンのようなスペース。週2日のみオープン。昨年に続き2度目の訪問。この日は特別に、写真家でありシェフでもある方が昼食を用意して下さった。とにかく、Chouseつながりのアーテイストはマルチな方が多い。
 



夥房に参画するアーティストのお一人、江坤起さんのスタジオ兼私邸も訪問。センスの良さは持ち前のものというより深い知識と探究心から生まれるのかも、と思う。素晴らしい空間。
FBページ「生活小琢 」>こちら





他に、昨年の続き「桃園市立大渓木藝生態博物館」、地域と旅行者に開かれた藍染工房「三峡染工房」、金属なんでもオールマイティな作家さんの工房なども訪問させていただき、もちろん朝市も歩きましたが、写真報告はこの辺りで。