6|ここにあるもの。

ひとつ歳を重ねた日の半日と、その次の日を
いま、ここにあるものを丁寧に見つけ出していく、
という行為に使った。

それは、庭仕事のこと。

山の麓の一角を自然を相手に間借りするつもりで、
地主さんから土地を借り
小さな住処をこしらえさせてもらって…2年と半年が過ぎた。

この土地に巡り合ったときは、
もう更地に戻っていたのだけれど、その2年ほど前までは
ここで40年の日々を過ごした家族がいたと聞いていた。
最後の数年は、夫に先立たれたご婦人が一人で暮らし、
長野に住む娘夫婦のもとへ移り住んだと。

更地になっていた平らな土地は、
スギナやヨモギやハルジオンやフキやワラビなどなど
野草天国になっていたのだけれど
南側の高い隣地へ続く斜面には、
生い茂った篠竹や絡みついた藤のツルの合間から
季節ごとに、花の色が、かすかに見え隠れしていた。
ツツジ、アジサイ、ヤマブキ、バラ、ユキヤナギ…。
藪の奥には、朽ち果てた支柱やアーチも見えていた。。
先人は、この斜面をも庭として、植物を育てながら
日々の暮らしの中で、眺め、手入れをし、
心の拠り所としていたのだろう。

冒頭に書いた「作業」のことは
木々に絡みついたフジのツルや、密集して伸び放題の篠竹を刈り、
先人が残した、ここにあるものを、
もう一度、光や風の中に解放すること。
その生の輪郭をあらわにしていくこと。

刈り取った篠竹の向きを揃えて地面に横たえ、
その量が軽トラの荷台1杯分くらいになる頃、
樹形も花々もあらわになったツツジの花に、
黒いアゲハが、さっそく飛んで来ていたという。
作業の親方(パートナー)が教えてくれた。
「ひらひらした柔らかい羽を傷つけることもなく、
 花にとまれるようになったから…」と。

私はその姿を見てはいないのだけど、その描写の言葉に
日々、考え続けてきていることのイメージを重ねて、
花に呼応する蝶の姿を見た。

ないものを望むのではなく、
身の丈以上に背伸びすることもなく、
先人から受けついで、ここにあるものの価値を見出し
丁寧に、見ていくこと。
見るようにしていくこと。
見えるようにしていくこと。

斜面の奥にも、山の麓の林に分け入っても、
園芸種に混じって野のものも見えてくるようになった。
とりたてて何でもない土地が、豊かな土地。

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5|角煮を起点とする言葉と本質の諸問題。

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だれかが次に発する言葉、というものは、
簡単に予測されるものらしい。

2012年に始まった、私のipad生活。
メールで、「おね」と打つと、
なぜか真っ先に「お姉さん」がでてくる時代があった。

都内へ向かう湘南新宿ライングリーン車の中で
「これから初めて会う人」に(もちろん仕事の)
「それでは、本日よろしくお姉さんします。」と送ってしまったことがあった。

この話は、けっこうあちこちでしていたのだけれど。
お姉さんチェンジ!」と追い返されることもなく
お姉さんしたわけでもなく
実際に会っても、先方も特段その話に触れることもなく
ということも含めて。
いまだに、まだ都市伝説にはなっていないようだけれど、
まあ、仲間内では、誤変換メールが多いミノダというのは、
有名な話です。(偉そう)

ヒジノワ企画運営集団のメーリングリストでは

「情報よろしくお願いします」が
「情婦よろしくお願いします」になっていたらしい。
気づいたのは、約1名。彼は、もちろん爆笑を禁じ得なかったとか。
どうも、前世は、なんか、そういう関係の…お姉さんとか情婦とか、
そんな心持が良くて情にあつくて涙もろくて、そんな人たちの
マネイジメント業(花街の裏番かよ)を
やっていたのではと思ってしまう。(思わん、普通)

さて、次に、最近のmac-PC wordの誤変換の話。

「ご確認よろしくお願いします」が、
7割打者を超える勢いで
「ご角煮よろしくお願いします」になってしまう。
気づく前に、私の指は電光石火のスピードで、
送信ボタンを押してしまったよ、1度だけ)

最後の署名が、これはもう8割の確率で、
「M猪田」になってしまう。

マリアンヌ猪田?(宝塚男役)
みのだいのだ?(おわらいこんび)

とにかく、誰?

角煮をオーダーしてしまう件にしても、
名前すら間違える件にしても、
仕事関係のみなさんは
「みのださん、忙しすぎるから」と労ってくれまして、
大きな混乱は引き起こしてない、いまのところ。

しかし、です。
このPCでの変換ミスについても、ずっと、自分的には
ipadなどの親切な予測変換をよくよく見ないで使ってしまう、という
いわば「そそっかしい類」のミスの延長だと、捉えていたわけですが

気づいてしまったのです。

あきらかに、
「指先の運動能力、反射神経の老化による低下」が原因である、と。
老化です。

どうしましょう。

広報勉強会を役場や宇都宮大で行う少しまえくらいからずっと
「言葉の定義」
「言葉の意味の本質をズラさない使い方」とか、
そういうことをまとめたり、
話したり、伝えたり、尋ねたり、考えたりし続けていますが
個人的課題として、まず、いろんな意味で
「言葉の確度・精度」を上げていきたいものです。

戦闘がいきなり、衝突なんて
誤変換しようがない言葉にすり替えられたり
云々が、でんでんになったりするご時世ですから、
「民主主義」という社会のお勉強の基本用語の定義すら
危うい世の中ですから
まだまだ老化を理由に「おねえさん」引退はできませんね、
私もあなたも。

ちなみに、写真は
「デニムのクロップドパンツSを買ったけれど、
 履いてみたら、普通のズボンだよ」の図。

と書いても、クロップドパンツが何かがわからないと、
このフレーズの「みのだの自虐性」が伝わらないわけです。
クロップドパンツとは、検索上位に出てくる解説によると
「裾丈を普通のものより短くカットしたもの、
たいていは6~7分丈のものを指す」です。
言葉の定義を共有して初めて、わかりあえることがある一例です。

Sで、これだものねえ。笑

 

4|私が私を風化させないために。

2012年の3月11日に書いた文を、5年後の今日、再録します。

311 for myself(2012.0311Facebook投稿より)
…………

毎年中身を新しくして、もう10年は使っている手帳も
ずいぶんと色が落ちてきた。
2011の夏、青森で貼った「頑張ろう東北」のシールは
去年の暮れにはがれてしまい、
プロジェクトFUKUSHIMAのステッカーも、半分ほどはがれそう。

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風化するとは、どういうことなのか。
忘れていくとは、どういうことなのか。
自分の存在が忘れ去られてしまう、ということは、
どれほどの「孤独」か。
さほどたいしたことではなかった、
ということにされてしまうということは、どういうことなのか。
ひとりひとりの、たしかに温かみをもって存在していた日々すらも、
犠牲者数という数字に、いつのまにか、ひとくくりにされていく、
それは、どれほどの「魂の孤独」か。
命を落としたひとばかりではなく、
「東電が」起こした原発事故で故郷を追われた人々の、
かつてそこにあった、日々も。

あの日は日赤での検査の日だった。
病院を出て益子に帰る途中で、あの揺れ。
揺れがおさまり、ヒジノワへ向かい、展示作品をチェック。
さほど被害も無いことに安心して自宅へ向かうと、
大きな掃き出し窓と出窓のガラスが割れて崩れ落ちていた。
窓からのぞくと家の中は倒れた家具やCDや割れたガラスが散乱し、
小さな茶色い家族が震えながら泣き叫んでいた。

半アウトドア状態になった家は、あまりにも寒くて、ぶっそうで、
その夜と次の夜は、小さな茶色い犬くんと 車の中で眠った。
キミは守るべき存在なのに、と、
寄り道せずに帰ってこなかったことをあやまりながら。

携帯Twitterとラジオで東北の状況を聞きながら、
私もまた、生まれ育った土地からずいぶんと遠くに流されてきて
小さな車の中で夜を明かしているという小さな孤独をかみしめた。

そして、二日目の夜には、1つの決意をしたはずなのに。
忙しさを言い訳に、私は私を風化させている。

いろいろと思うところはあるけれど、まずは自分自身から。
311は、もう一度、私が私を生き直す日。

2012,3,11記

………

そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故から6年、
私がこの投稿を書いてから5年が経ちました。

年月が経ってわかってきたことがある。
自分自身を風化させないことは、
自分自身をフランチャイズ化しない、ということ。

動き続けながら、対話を続けながら、確信をしたことがある。
政治の右傾化への抗議も、再稼働反対の声を上げることも、
ヘイト(差別主義者)へのカウンターも
椅子の買い替えを先延ばしして行う沖縄へのカンパも
若い世代への声援も
違憲訴訟の原告であることも
すべて、根っこは、私の中では繋がっている。
私やあなたの個々人の尊厳を取り戻す、ということ。

2017.0311
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