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地域の価値を伝える 
「あわい」の土地で

ええと、しばらくぶりの投稿になってしまいましたが…(若干、遠い目)、今日は、ウェブ上で新しくリリースされた、企画・取材・執筆を担当した記事についてのご案内…と、ご案内を通して、編集私論についても語ります。これまで⑴「私/個」から「公/共」あるいは「普遍」へと繋ぐための「構成」について
⑵ 地方自治体の仕事:デザインを入れる前に考えるべきことについて
…と綴ってきましたが(まだたった2回だったんか!)
今回は ⑶ 反復横跳び…について(謎)です。

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今回、ご案内するのは 茨城県大洗町の宿「里海邸」ウェブサイトの読み物「宿物語」です。
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この連載第1回が形になるまで(企画を固めるまで)について、お話しようと思いますが、え?どこが「反復横とび」かって?それは最後に(ちゃんとそこに帰着できれば)ね。
宿のオーナー石井さんと初めてお会いしたのは、土祭2015の会期中。「益子の風土・風景を読み解く」展示会場でした。土祭やミチカケにも関心を寄せていただいていたということで、その後、笠間のデザイン会社TRUNKさんを通して里海邸ウェブサイトで「宿がある大洗の価値を伝えていく連載」の依頼をいただきました。

いま流行りの言葉で言うと「観光プロモーション」「地域の資源で、ストーリーを作っちゃおう」的な? いえいえ、曖昧なまま乱発される横文字言葉には私は乗りませんし、うわっつらだけの「ネタパズル」のような「ストーリー」は地域になんの福利ももたらさないことを、これまでに痛切に感じてきています。なんといっても、オーナーの石井さんの考えや意図はもっと広く深いところにありました。デザイン事務所の笹目さんも交えて、何度かじっくりとお話をかさねながら丁寧に、その「価値を伝える企画」を詰めていきます。

①地域に向き合い、地域を知る
もちろん、「大洗町史」も読みます。石井さんの考えの根底にある、レイチェル・カーソンも読み直します。もちろん現地を歩きます。波の朝も夜も体感します。打ち合わせとしてではなく、石井さんに聞き取りもします。
基礎取材としてキーパーソンに聞き取りをします(大洗町生涯学習課文化振興係の方にいろいろと教えていただきました)

②企画を具体化していく
そうして初めて、「企画内容」を詰めていきます。私がこのような仕事を受けた場合、打ち合わせ内容を踏まえつつ
「企画書」をしっかりと作ります。パワポで箇条書きで作るようなものではなく、しっかりと文章を書きます。企画書の項目立ても、その企画に応じたものにします。企画書は最初に提出したものをベースに意見交換を行い、
修正を加えていきます。この場合、依頼主のオッケーが出るか出ないか、出たら、そこで思考停止、ではありません。悩み続け考え続けるので、なかなか固まらないこともあり、今回の場合は、数ヶ月かけて(ほんとお待たせしました)企画書は、5訂版が最終形です。

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ご参考までに、企画書5訂版の構成(項目立て)を以下に記しますね。
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1 連載の趣旨(概要)
2 価値付けのコンセプト
ⅰ 前提
ⅱ 基本的な価値
ⅲ 大洗の特別な価値
3 ねらいと期待される効果
4 連載内容(案)
ⅰ    連載を通してのキーコンセプト
ⅱ 記事に付加するコラム的な要素
ⅲ 全4回の企画概要(仮タイトルとテーマ、取材人選案)
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私の場合、どんな仕事においても、1から3までのあたりが、長いです。考えを整理していくにも、時間がかかります。そうして「本当に地域のためになる(はず)」と思えて来ないと自分の中に納得できる「道筋」が見えてこないと具体的なアイディアは生み出せません(ある意味、不器用)

さて、なつかしい、学生時代の体力テスト、反復横跳びの話です。上の文章の中で、企画書つくりのプロセスで
①地域に向き合い、地域を知る
②企画を具体化していく …と、見出しをつけました。
これはつまり、このような側面もあります(←私の場合)
①地域に向き合い、地域を知る(具象を集める)
②企画を具体化していく(抽象化へ:概念化する)

いつのころからか、企画を考えたり、文章を作成するプロセスでの私の中の動きについて、こういうことに気がついたんです。ああ、私は、①具象 と ②概念 の間をかなりの頻度で行ったり来たりしながら、自分の考えや文章を練っているんだなあ、これは、エンドレスな「反復横とび」やよ〜(なぜか飛騨弁)
今回ご紹介した記事の中では、タイトルや文章などに、いくつかキーコンセプトとも言える大洗の価値付けの言葉がでてくるとおもいます。その土地で生きる人にあって、じっくりと話を聞く。他者の、日々の暮らしの中の、さまざまなエピソードが私の中に、その人の言葉で(具象)として入ってきます。また、別の人の話を聞きます。ある土地を訪れて、多くのものを見ます。見たものは情報として私の中に入ってきます。感じ、考え続けることで、それは(具象)のいくつかは繋がり、「それは、こういうことね」という解釈が生まれ、大げさに言うと 具象が集まって、概念としての言葉に整理されます。例えば、ここで「あわいの領域での生」という言葉が私の中に生まれたとします。
そこで止まり、ではありません。この概念化された言葉という、照明(のようなもの)を用いて、また、その土地で暮らす人々の具体的なエピソードを照らします。すると、概念化された言葉が強固なものになったり、また少し違ったものが生まれてきたり。こういうプロセスは、企画を固めていくときだけではなく長い取材記事を書いていくときも、同じです。右に、左に、飛びながら、前に進めていれば、いいのだけれど。

…というわけで、この企画記事の完成まで1年以上かかってしまったことの長い言い訳を終わります!