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作品に添える言葉

幸せは、ぬのといとで できている。

本日、最終日を迎えて、盛況のうちの終了した、益子を中心に近隣の布と糸を扱う女性作家のグループ展「ぬのといと」。



ヒジノワで2014年にスタートして、15回目を迎えた今回。メンバーの皆さんから、DMに使うキャッチコピーを作ってほしい、会場にも言葉で参加してほしい…という相談がありました。タイトルは「iki」に決まっていて、メンバーの話し合いから「生きること」「息」「粋」などの音として、英文字表記で「iki」に決まり、そのサブキャッチを考えたいという相談でした。それから「iki」について思うこと、感じていることを、メンバーのみなさんにメールでインタビュー。それらをしっかりと受け止めて生んだコピー案は、3つ。そこから満場一致で採用され、DMに使われた(笑)コピーが、こちらでした。

「光と風をまといながら 私は私を生きていく」

また、会場に展示する「言葉」は、メンバーひとりひとりにあらためてメールインタビューさせていただき文章をまとめ、そして「光と風を・・・」のコピーの全体像(全文)を「詩」に仕上げて額装に展示させていただきました。
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幸せは、ぬのといとで できている。
それを教えてくれた、母のゆびさき。
いくえにも重なる花のフリルに、
西日射す台所に置かれた野菜の緑のグラデーションに、
ただただ美しいと思う、その時に
私の言葉は、布の形をまとって、あふれでる。

今日の私は、昨日までの私で できている。
明日からの私で、満ちてゆく。
ただただ愛おしいと思う、その時に
私の言葉は、無垢の布を染め上げる。

ココロとカラダを結び直す靴をはき、
光と風をまといながら、私は私を生きていく。


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種明かしをすると、この「詩」の中には、
メンバーそれぞれの体験や言葉を盛り込んでいます。
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「ぬのといとでできている」
 私の創作はぬのといとでできていると語るkomichiさん。

「母のゆびさき」
パッチワークの講師をする母を見て育って自然と服飾の道へス進んだという、nociwの高田純子さん。
「花のフリル」
いつもヒジノワの空間にやわらかい光を放つ装花をしてくれる佐藤香りさんのイメージから、花と服の共通項としてのフリル…。
「野菜のグラデーション」
そういう光景を見ても服作りのインスピレーションが湧くという、kiitoの上妻彩さん。
「布の形をまとって、あふれでる」
つくりたいものがあふれてくると語る、yayamiの柳真美子さん。
「無垢の布を染め上げる」
草木染めでストールやバッグを丁寧につくりあげるCASANE の石川恵子さん。
「心と体を結びなおす靴」
靴作りを通して、心と体を繋ぎ直すお手伝いがしたいと語る、cui cuicoの岸直子さん。
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しなやかにやわらかく、そしてしっかりと、「私」を生きている7名の女性たちは、初回から回を重ねるごとに、一歩一歩、前へ進みます。次回の展示は、来年の初夏。楽しみです。

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ここで、少し過去の記録も。

作品の発表の場に、展示会に、言葉を添えてほしい。
友人知人の作家たちから、そのような依頼を初めて受けたのは
2014年にヒジノワで開催された、笠間や益子などのさまざまなジャンルの作家が参加した「台所」展でした。「台所」で使うものたち、まさに、暮らしのど真ん中で使われる道具たち。丁寧な手仕事としなやかな感性で通られる道具が、ひとにもたらす優しい作用。そんなことを考えながら短いコピーを作りました。
(会場写真は、台所展facebookページからいただきました)

2017年には、益子の星居社が企画・主催した「トッテテン」(取っ手展)。こちらからも「言葉で参加してください」とお誘いを受け、ちょっと遊ばせていただきました。メインコピーとした「テトテト・・・」など、いくつかお送りしましたら、会場内のいたるところに小さく印刷されて貼り出されておりましたが、栃木・茨城・そして兵庫や滋賀からも参加した作家の作品たちの、お邪魔になっていたような、いや、スルーされていたかと思います。以下、2点だけ、ご笑覧ください。




さて、最後に、2013年の7月、ヒジノワ企画として開催した、あの「役に立たないもの展」に添えた言葉。「暮らしの役に立つ日用品にこそ美があるという「用の美」を重んじてきた陶芸の里・益子で、この夏まさかの企画展!」という趣旨で、益子や笠間などの陶芸・工芸の作家たちが、いかに「役に立たないもの」を作るかにしのぎを削った、伝説の企画展がありました。その際に、宣伝用に「檄文」を書いていた簑田。
本人は忘れていましたが、なんと、上記の星居社の事務所に今でも(泥棒除けのお札のように)貼られているという。星居社のテラヤマさんが送ってきてくれた写真を載せて、締めたいと(笑)思います。