ミチカケ|企画書は枝葉のための、根。

今回は、ミチカケの創刊企画書について。

「企画書」は、とても大切です。
新しい概念や活動には、新しい言葉が必要です。
ただし、地に足がついた、言葉、です。

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企画書あるある…で言うと、なんとなく言えてる気になりがちで中身がないものに「カタカナ言葉」の使い方があります。

「ブランディング」と、見出しに書かれていて、本文に書かれていることは、ただの状況の説明だったり、「コンセプト」と見出しに書かれていて、本文には「実行項目」が箇条書きで書かれていたり、そういう企画書をこれまでにも残念ながら身近なところで散見してきました。

そもそも何を目指そうとしているのか、自分でも曖昧にならないために、関わる人々と、しっかりとブレのない共有ができるために、私は、企画書では、「雰囲気だけそれっぽく見える」カタカナ言葉を使わないように試みています。プロジェクトマネージャーを務めた「土祭」でもそうでした。

企画書は、1回書いて終わりではありません。
関係者と検討を重ね、ヒアリングを重ね、自分自身でも、少し寝かせながらまた考えて、いろんな人と話し、話を聞き、本も読み、修正や改訂や…なんども手を加えていきます。その過程で、「妄想」や「構想」や「概念」が「借り物ではない、自分のもの」として、肉体化=自己同一化されてきます。ちなみに、ミチカケの場合、2012年12月に新規事業申請として役場内で起案した最初の企画書から、半年間、8回ほどの改訂を重ね、8訂版として創刊企画書が確定しまのは、2013年の6月です。

いま、読み返すと、かなりツメの甘さが目立ちますが、ミチカケの創刊企画書から、一部を抜粋して、紹介します。

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[創刊の理念]
ブームからブームへと流れながら消費されていく東京発信のメディアに頼るのではなく、私たちが独自のメディアを持ち、私たちの足元から、私たちの言葉で、今の時代に大切なものをしっかりとていねいに伝えていきます。特に首都圏で働く若い世代に、単に「好きな町」「遊びに行きたい町」から進んで「第2の故郷」「大切な場所」として位置付けてもらえるように。

[ミチカケとは?]
益子の風土に暮らす「人」と、風土に根ざした人の「暮らし」を伝える本。

[編集方針]
1 情報ではなく、人と暮らしの「情景」を丁寧に伝えていく。
田舎がいい、古いものがいい…という視点ではなく、その情景には「新しい生き方のヒント」を描いていく。

2 一地方の小さな田舎町での話を「普遍性」を持たせて伝えていく。
ミクロの視点から見出されるものが、今の時代に本当に必要とされる「普遍性」をもつものへと広がり、今の時代に暮らす人へ共感をもっていただけるように伝えていく。

[名前に込める意味]
古来より、新しいはじまりの象徴とされる新月。そして再び満ちていく月。その繰り返しとともに、綿々と紡がれていく人の暮らし。過去から今、そしてこれからへ。益子の風土にしっかりと根をはり、それでいて、たおやかに風にそよぐ人の暮らし。そこから生まれる普遍的で大切な人と暮らしの情景を伝える。

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むむむ。名前の由来のあたりが、いまひとつ練れていませんね。

さて、企画書の理念や方針が植物の「根」だとしたら、そこからブレることなく、茎を伸ばし枝葉を広げていくものが、誌面内容になります。誌面の中でも、企画書という根から伸びた、最初の茎と双葉のようなものが、巻頭のメッセージです。
ここでは、「ミチカケ」が、この土地をどのような風土性をもつものとしてとらえているかを述べて、そして、理念や方針を、企画書から「翻訳した」表現で伝えています。もちろん、ここには「2|たとえば30年先のために」で書いた観光PRへの考えも反映しています。

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数千万もの人々を抱える広大な平野が終わり

北へ連なる山々が始まる、ふたつのものが出会う土地。

平野と森。北の木々と南の緑。土と炎。

古きものと新しきもの。

足元の土とともに農業と窯業をつないできた人、

土地の気風にひかれ移り住む人。

大地にしっかりと下す根っこがあり、

風にそよぐ枝葉が活きる。

豊かな風土と、ものづくりの手が出会い

生み出される健やかな暮らし。

北関東の小さな町の、小さな暮らし。

その情景を、この町で暮らす私たちが描き伝えていきます。

新しい明日への手がかりのひとつとして。

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次回は、デザインと写真の話、もしくは、特集の話を。